ブルーマン・ショー

[ Post Date ]
2008/01/27
[ Category ]
身体・性・舞踊

1月27日(日) ブルーマン・ショー

 六本木インボイス劇場でブルーマン初体験。プラスチックのような質感を出した、青塗りの男3人。彼らは日本人より身長がだいぶ高いので、米国などの公演より異形さは際立つだろう。ブルーマンたち、一切無表情、腕を振らずに歩く独特の格好。宇宙人みたいな見かけなだけに、普通の人間たちの何気ない心のうごきやコミュニケーションの一こまをやるだけで面白い。

 演出家のオブセッションが「管とその中を流れるもの」「水」「DNA」などにあるようだ。その、意味のわかりにくいモチーフが繰り返し現れるので、感覚ごと、謎の世界に巻き込まれて逆に快感だ。舞台装置からして、巨大な配水管のような機械が上方にあってそれが分岐して、下は小腸みたいなうねうねの管になっている。プラスチック製の下水管をバチでたたいて、ブルーマンたちがリズミカルな音楽を演奏してしまったり、「東京バナナ」を食べるシーンのあと、胸のボタンを押すと中からどろどろのバナナっぽいものが噴出して胸から嘔吐しているみたいに見える場面とか。管と中を流れるものって何??管はつなぎ、中を清濁何でも流れる。生命やシステムの働きはすべて管、管、管というイメージか。

 客いじりもしばしばあって、意表をついて笑わせた。異形のブルーマンたちと、まともな人間がじかに関われば、普通のことでも変わってみえるし、異常なことも起きてしまう。楽屋に拉致されて逆さ吊りで絵筆代わりにされたお客もあった。あるお客はいきなり捕らえられて、あれよという間に胃カメラをのまされ、その映像が正面の大きなスクリーンにリアルタイムで映される。食道、胃、・・・の管を胃カメラの映像が大映しにする。人間は水や食べ物が通る、ひとつの管なのだ。

終盤、天井から突然、二本一組の太いやわらかめの蛇腹の管が下がり、ゆっくり回りだす。管同士がまわりながら螺旋をえがき、スクリーンに映されているDNAの二重螺旋のアニメとイメージが重なる。二重螺旋と管、ふたつのオブセッションが重なってすごい。生命の大本と生命の働き?

 クライマックス。特設劇場の客席後方に取り付けられた、トイレットペーパーより幅広で丈夫な白い紙の数十ロールをブルーマンたちがざあっと束ねて持って前方に走る。それで客席のすべてのお客はその白い濁流の流れに巻き込まれる。私の顔にも首にも白い紙が撫ぜ、からまり、お客はどんどん手でそれを前方に流していく。その流れはこれでもかというくらい続くのだ。客席中真っ白。演出家は本当は「水」を流したかったのかもしれないが、こんな場所でみんなで水の流れに押し流される意外さと白のインパクトは忘れられない。

 3人しか登場しないのに無理なく飽きさせないのは、このショーが巧みに映像メディアを使っているからもあろう。舞台にスクリーンがいくつもあり、字の流れる電光掲示板もいくつもある。アニメや写真、生映像、ナレーションなど早い展開で流される。

都市の下水道、アニメ、加速化する人間の情報処理、メールの顔文字、等々、現代の都市生活を題材にするのは、ブルーマンの持ち味にとてもあっている。プラスチックのような人体、血液とは一番遠い色のブルー、無機的な配水管、アニメの二重螺旋、・・有機的な暖かさのまったくない題材が、逆説的に現代的な生命の充溢を感じさせる。

たぶんアメリカのショー界での定番的な芸かな、というものも中には入っていたようだが、ブルーマンがしてこそ面白い芸を見せてほしい。ブルーウーマンはありえないだろうか。いろいろとプログラムを替えて日本で上演を続けていくようなので、オブセッションの本質を替えずに、しかも新しい切り口で都市生活を演じたのを何度でも観たい。

 

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2008/01/27
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