みそ仕込み
- [ Post Date ]
- 2008/02/19
- [ Category ]
- 日々のこと
2月18日(月)
ゼミ生12人がうちに来て、毎年恒例のみそ仕込みを頑張ってくれた。
このおみそは約1年後に熟成し、「江戸大味噌」の名前で、学生達がフィールドワークで外に行くときの手土産などにして、喜ばれている。また、卒業生が30歳になったとき、「三十路のみそ祝い」に贈ってあげて、「このしゃれ、さむい」などと笑ってもらっている。
今年は学生の提案で、グループに分かれてお料理対決をしよう!ということになり、パスタ料理、お野菜料理、手作り餃子、デザートの4グループでお料理を作り、みそ仕込み作業と併行でなかなか忙しかった。同時に、私が仕込んだどぶろくの最後のしあげ「一番絞り」の作業などもご苦労さまでした。食べたり、どぶろく飲んだり、お笑いをやってくれる学生もありで、本当に楽しかった!
みんなの危なっかしい手つきに注意を払いつづけために、手作り味噌について、大事なことをお話できなかった。
特にゼミ生のみなさん、あまり意味わからずやっていたかもしれない味噌仕込みについて、書きますので読んで改めて考えてくれるとうれしいな。
もちろん多くの方にしっていただきたい話です。
今の市販のお味噌や醤油は、どうやって作られているのか知ってる?私たちの手作り味噌は、だいたい1年後に美味しい熟成を迎え、3年後になると、すごく色も濃く、味わいも濃くなります。ところが、市販のものは、たいてい3ヶ月くらいで出荷を迎えるそうです。どうしてそんなに早くできるか?発酵促進剤という薬品を使っているから。それから、安いお味噌だと、丸大豆ではなく粉大豆を使うので、発酵も早くなります。粉大豆にしてしまう大豆とは、丸ごとだと買ってもらえないような、質の悪い大豆ですよ。安いお味噌は、舌触りがざらざらしているのが気をつけるとわかるんですが、それは粉大豆だからよ。だから「丸大豆」はブランド名に使われるのね。伝統的な作り方では丸大豆は当たり前なのに。こういうことから、食品製造での、「近代化」の意味を考えてみてください。早くお金に換えようとする、促成栽培、質の悪さを添加物で補おうとしてしまう。
お味噌は発酵食品。発酵で今回は米麹をメインに使っているけど、発酵には、本当にいろいろな菌が関わっているのよ。この空気中の菌、みんなの身体についている菌。それがお味噌にはいっていくから、自分にくっついていた菌が育ったお味噌をおいしく感じるかもしれないね。「手前味噌」はそういうことかな。
とにかく、いろいろな菌と私たちは共存して、全体として健康に生きていることを忘れないでくださいね。「抗菌グッズ」が流行っているけど、無菌では、私たちは絶対に生きられません。たくさんの菌のバランスをとりながら、人間は生きています。ばいきんもこわがらないでね。たくさんの菌のバランスがとれていれば、ばいきんも却って健康にいいんですよ。
だからといって、ばいきんがバランスを崩して多くなると、このお味噌は「熟成」ではなく「腐敗」してしまう。いったん腐敗しかけると、途中で手を入れても本当に美味しいお味噌には戻らないんですよね。みんなも腐敗はしないほうがいいな。
味噌をしこんだこの常滑焼の甕(かめ)は、何の形をしているでしょう。
これは女性のウエストからヒップにかけてのラインなんです。甕の形は世界でほぼ共通。日本でも縄文時代からあります。みそ甕って、女性のおなかであかちゃんを育てるイメージなのね。
あかちゃんは9ヶ月たたないと絶対に一人のちゃんとした人間になりません。それと同じ、ものごとはできあがるまでにちゃんと時間が必要で、促成製造では成熟ができない、まがいものしか出来上がらないのではないかな。
歳をとることも、この熟成、成熟とおなじ。ただ老いるのではなく、成熟する歳のとりかたをしたいものですね。
私は研究室にみそ甕をおくことで、熟成ということの意味をいつもかんがえさせられています。学生たちに、すぐ成果がでなくても、時間のかかる熟成を待とう、と、みそ甕をみていつも思わされます。
みなさんが、腐敗せずに味わい深く成熟するよう、私も心をかけてますから。
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