癒し系茶道
- [ Post Date ]
- 2008/07/14
- [ Category ]
- 身体・性・舞踊
7月14日(月)
「日本の身体文化演習」の授業で、今日は、6回連続の「茶道入門」の最終回。
この授業は私にもとっても楽しく、朝はやくからお花や和菓子や、お道具などいろいろな準備を、うきうきとやってきた。
学生たちの反応がとてもよかったからだろう。
お盆で点てる略点前という、たいへん簡略な点前の実習だが、着物での実技試験もしたし、学生たちは身体でたくさんのことを学んでくれたようだ。
お茶の文化をいろいろな面からお話しても、よく聞き入ってくれる。
――「朝の茶事」はペットボトルの名前になってるけど、お茶事の一種で、朝早くお客さまがあつまって、すがすがしい早朝の空気をあじわい、鳥の声を聴いたりしながら、お懐石やお茶をいただくんですよ。
――「一期一会」は中島みゆきの歌になってるけど、もとはお茶の言葉でね・・。
そんな話をよろこんでくれる。学生たちは、お茶事にあこがれ、野点もしてみたいといい、家でも自分で点てようという。
高度な文化としての茶道は、それとしていよいよ発達することを願うが、裾野を広げることも意義は大きいだろう。
今日本には、世界中のさまざまなお茶が紹介されて、それぞれの味わいや薬効などが楽しまれ、珍しい外国のお茶道具もたくさん売られている。ハーブティが好きとか、中国茶に凝っているとかいう人も少なくない。その一方、生まれてから一度もお抹茶をいただいたことがない人がたくさんいることには、茶道界は反省しなければならないのでは?
どこの家にも茶筅がひとつはあり、冷凍庫にお抹茶がはいっていたら、どんなに心豊かな日本になるだろう。
お客様をおもてなしするにも、お薄をさっと点てると、必ず喜ばれる。
いい和菓子をいただいたときなども、煎茶よりお薄を気軽に点てるといいと思う。
それから学生にもすすめたことだが、これからは「自服」、つまり、自分で自分のためにお茶を点てることが広まるといいと思う。
一仕事おえたとき、ちょっとホッとしたいとき、好きな掛け軸をかけてもいいし、お花を生けてもいい。お気に入りのお道具を出してきて、自分のためにお茶を点てる。これは私のお茶の先生が教えてくださったアイディアだが、本当に現代的ですばらしいやり方だと思う。
今、自分のためにハーブティやコーヒーを入れて一息つく人はとても多い。お茶は心静まるお点前があるだけ、一息つくにはよりふさわしいのではないだろうか。
ところで、昨日読んだ、三浦展『下流社会 第2章』(光文社新書)に、面白い調査分析が書かれていた。これは、階層と消費行動などの関係を、的確な調査をおこなって把握している本だが、いわゆる「癒し系消費」にも、階層の差が関係していると発見している。
「現在趣味にしていること、あるいは比較的お金や時間をかけていること」として、「紅茶、中国茶、日本茶」や「アロマ、お香」を挙げた女性は、「正社員・親元」「正社員・一人暮らし」「ずっと非正社員・一人暮らし」よりも、「正社員から非正社員にかわった・一人暮らし」にずっと多いという結果がでている。
この層は、また「将来への希望」が高い層でもある。
三浦氏は要約する。「バブル崩壊後に拡大した消費トレンドである「癒し系消費」は、同時期に増加しつづけた非正社員女性たちが担ってきたのである。」(227頁)
茶道が「癒し系消費」のなかまにはいるかどうか、が問題だ。
非正社員女性の賄える範囲の文化になれるか、が問題だ。
私は、それは可能だと思う。
でもそれは、茶道のこれまでになかった方面への発展になるだろう。
貴重な宝物のお茶道具を扱うからこそ発達してきた、高度な集中を要する、みごとに洗練された点前とは、別世界になろうが・・・。
いわゆる「道具茶」というのからさっぱり離れて、それもまた、いい発展かなと思う。
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- 2008/07/14
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