生殖力と人種問題
- [ Post Date ]
- 2009/01/19
- [ Category ]
- 身体・性・舞踊
1月18日(日)
NHKスペシャル『男と女』第三回は、なかなか衝撃的だった。
前半は、男女の性染色体がテーマだ。XXの対になっている女性の場合、染色体が複製されるときにミスがおきても、対のもう一方が補ってくれるのにたいし、XYの男性では、複製ミスは修復できないという。Y染色体は、かつてはほかの染色体と同じ長さがあったが、どんどん複製ミスでぼろぼろに欠けてきて、今ではものすごく短く、このままの傾向では500万年後には消滅し、男性はいなくなってしまうだろうという。
後半は、男性の正常な精子が減っているというテーマ。これにはいろいろと疑問も喚起され、考えさせられる。
デンマークの調査では、ここ10年間で急激に、正常な精子量のない男性が急増。顕微鏡でみると精子は身動きしなかったり、時々寝返りをうつだけのものが多い。しっぽがなかったり、頭の形が異常な精子も多いのだ。成人男性の2割が不妊ライン以下、ラインをぎりぎり上回っている人がさらに2割もいるという。
日本でもこの数字は似たようなものだと紹介された。
一年や十年でなく百年、千年単位で社会をみるなら、やはり子孫を残せないとは、非常に根本的な問題だ。
番組では、乱婚を基本とするサルと対比させつつ、人間の一夫一婦制が、精子たちの競争を阻害し、精子を怠けさせたと、興味深い指摘もしていたが、でもその説ではここ10年での、正常な精子量の激減は説明できない。
デンマークと日本以外の他の国では、精子量はどうなのだろうか?
同じ国での人種の差はどうなのだろうか(人種概念はそもそも、科学的、厳密なものではないことは考慮しつつ)?
性行動、性関係のありかたと、精子量は実際どのように相関しているのだろうか?
社会が高齢化するとその社会での生殖力は低下するという説もある。真実はどうなのだろうか?
実証的なデータに基づいて明らかにしたい。
ところで、オバマ大統領人気の一面は、彼の若くて明朗な身体の魅力にあると思う。
黒人であってもご老体だったら、当選はしなかったのでは。危機が深いほど、それを打開する若い力に米国は期待をかけたのだろうが。
私は以前より、黒人差別の裏に、白人たちの、黒人(男性)の生殖力への脅威を感じ取っていた。白人男性と黒人女性が性関係をもつことは白人社会でも許容されるが、黒人男性と白人女性のカップリングには白人たちから激しい抵抗が示される。私は何度も、白人たちが(特にそれを話題にしなくてもいいような文脈ですら)、黒人男性の性的能力を話題にするのを聞いたことがある。
日本でも似た感覚があって、黒人男性と日本人女性が六本木あたりをペアで歩いているのをみたりすると、日本人男性も、「女を獲られてしまった、オレではかなわない、悔しい。」などと心中思うのではないか。
黒人男性への差別意識の根底には、その強い生殖力への恐れがあるのは間違いない。(鈴木透『性と暴力のアメリカ』中公新書 3章Ⅲ「異人種間の性関係」 参照)
もしミシェル夫人が白人だったなら、白人男性たちの許容範囲を超えることなので、オバマ氏は感情的バッシングにあっただろう。またオバマ氏も今後もし、クリントンのように浮気などしたら、白人の恐怖心に火をつけてしまうだろう。
先進国のアジア系や白人系の人が、生殖力を喪いつつある危機を感じているなら、オバマ氏の身体にはどこかで、勢いのある生殖力を感じたはずだと思う。それは希望や羨望の感情もかきたて、しかし危ういバランスを崩すと、脅威や嫉妬の感情もよびさましうる。オバマ氏への評価は今後も、淘汰という生物的な現象をめぐる、意識下の感情に基盤をもつだろうと思う。
すでに淘汰の局面にはいっている日本で、私はどうしたらよいのか。
身体能力のすぐれた黒人たちが地球上に増えればよしとする考えかたも成り立つ。生殖を放棄し、一生アニメのキャラクターに恋していればいいと言う人たちを、無理に生殖に駆り立てようとも思わない。
しかし、とりあえず、18歳~22歳くらい、つまり思春期が終わりきっていない年代の若者に接しているのだから、できるかぎり生殖力の健やかな、男や女を育てたいと思う。
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