初鏡

[ Post Date ]
2009/01/03
[ Category ]
社会

1月3日(土)

このお正月は、年越し派遣村、ガザへの空爆など、不幸な出来事を耳にし、心に棘がささってずきずきするまま過ごしているような感がある。
「初鏡」、これは俳句の季語だが、自分の姿をその年初めて見る、つまり年頭の改めての自己認識、自己省察も意味しよう。私たちの自己認識、自己省察は、この社会をどのような姿と捉えているのだろう。

初鏡官庁街はドヤなれり

空爆の怯えを刻む初鏡

派遣村のニュースに接するたびに、90年代後半からの就職超氷河期に社会に出、派遣にしかなれなかった人や、身体を崩して正社員を辞めた人ら、いろいろな卒業生の顔が思い出され、そんな顔がこの村にいないかと、報道画面に見入ってしまう。
派遣社員たちは年末、寮から寒い路上に追い出されて即日ホームレスに転落した。寮には次に入居する人など決まっていないのだから、雇用側はせめて退寮の期日を延ばして、給料はないけれど居場所はあるというように、便宜をはかるべきではなかったのか。経営者たちはそんな非道をして、自分はぬくぬくとお正月を祝っているのだろうか。
派遣村でボランティアをしませんか、という案内がメールニュースなどで届く。私はボランティアはできなかったが、大変な時こそ助けあう価値は高いと思う。

こわれゆく世にぬくめあう年の暮

私は大学でキャリアサポート委員という、学生の就職支援やキャリア教育をする委員会のメンバーをしている。大学は就職率の数字や、就職先としての一部上場企業の名前を重視しているが、今の時代、その発想だけでは卒業後のキャリアへのサポートとしては非常に不足しているとも思う。
新卒時の就職がうまくいったとしても、いつ解雇の目にあうかはわからない。解雇にあった人たちの「何度も死のうと思いました」という声をTVでしばしば聞いた。しかし、解雇されたくらいで死のうと思っては、だめですよー!
これからのキャリアサポートは、雇われなくても生きていく、さまざまな道を示すべきだ。起業、自営、農林漁業、自給自足。
昨年結婚したばかりで、田舎で新婚生活をはじめた卒業生の若い二人がいる。古民家を手入れし、畑をたがやし、秋には採れたてのお野菜を、私のうちに送ってくださった。みずみずしくてパキパキの野沢菜や小松菜や蕪・・・。お年賀状には丹精した畑の写真があった。東京育ちの花嫁さんの奮闘がとても頼もしい。彼女は大学時代のインターンシップで農業体験をし、農で生きていく気持ちを育てたのだった。

自分で食べる分くらい自分で作れるものだと体験していれば、文明の利器はなくても身体ひとつで生きていけると知っていれば、解雇されても心配はいらない。

マネー資本主義が行き詰って、しかも日本は食料自給率が危機的に低い。そういう時代に、環境と調和しながら、生きるのにまず第一に必要な食料を生産するとは、いつまでも変わらない、価値ある仕事だと思う。
ちょっとやそっとでは死のうなどと思わない、しぶとくしなやかな若い人たちを育てたいと思う。

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2009/01/03
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社会
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