骨盤と出産

[ Post Date ]
2009/04/21
[ Category ]
身体・性・舞踊

4月21日(火)

「骨盤を締めて痩せる」という記事をファッション雑誌などで目にしているためか、女子学生たちに骨盤への関心が高い。
骨盤の開閉がどんなに大事か、そして無理に「締める」のは身体に毒だということを授業で話した。
骨盤の開閉の滞りをなくす、ちょっとした体操もみんなでやってみた。
(ただし、その体操は呼吸法と同時におこなうものではない。呼吸法とセットだと、呼吸を間違えたときの反作用が大きく、素人がとりくむには危険だと考えられる。呼吸法とセットにせず、大きな効果は急にはあがらないにしても、間違いのない方法をとったほうが、安全だ。これは、私の師事する整体師の方の見解だ。)

さて、数多くの「骨盤本」を見て、私が不満に思うのは、妊娠出産についての記述が稀なことだ。妊娠出産する人は、それ専用の本を見るから必要ないと、編集者が思うのだろうか。それとも妊娠出産と骨盤の関係を意識していないのか?
骨盤は一日に一度、そして一ヶ月に一度、開と閉の往復をし、それが体調や気分の波をもつくるのだが、それとは比べ物にならないほど、ダイナミックに骨盤が動くのが、9ヶ月の妊娠中の「開」と、出産後の数日の「閉」である。特に後者は、9ヶ月で開いたものが数日で戻るのだから、短時間で非常に大きく動く。
出産後の骨盤の締りがどんなに急激なものか。生涯に身体の骨がこれほど大きく移動する時期はないのだ。しかもその場所は、身体の要である腰。
非妊娠時の骨盤の動きは注目をあつめるが、この大きな出産後の動きがあまり話題にされないのはおかしいことだと思う。

赤ちゃんがおなかから出た直後から、骨盤は、片方ずつ数時間かけて交互に、閉じていく。それは数日間続く。そして、その間は、両脇で熱を測ると、左右で体温が違うのだ。そのあいだは、本当に安静に、腰に負担をかけずにすごさなければならない。野口整体では、両脇の体温が揃うまでは、トイレも寝たままでしなさいというくらいだ。
意外にいろいろな動きで、腰に力がはいってしまう。重いものを持つ、上に伸び上がる、階段をのぼる、ドスンと衝撃を与える・・・。こんなことで骨盤の閉まる動きが中途でブロックされ、骨盤の開閉が乏しい身体になってしまう人も多い。すると、産後たいへん身体を悪くする。産後の太りすぎ、つぎの子を授かれない不妊症、次の子を生むときの激烈な痛みや難産、片側の身体の硬直がしまいに脳溢血などにつながることもあるという。
出産後に骨盤をひずませると、それを治すのは非常に難しく、もうひとり産むしかないとも言われる。

多くの病院出産では、母子は産後離されてしまい、胸の痛むことだ。そのことの弊害のなかには、産後のお母さんが、授乳のたびに廊下を歩いて、新生児室、授乳室に移動しなければならないこともある。こういうお母さんのなかで、骨盤がきちんと締まることが妨げられて、身体の要が大きく歪んでいく人もいるだろうと思い、気の毒でならない。

社会の認識が変わってほしい。

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2009/04/21
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