ピンポイントの刺激こそが身体を変える

[ Post Date ]
2012/02/13
[ Category ]
身体・性・舞踊

産経新聞「からだ こころ いのち―再生の時代」
2月第2回 「ピンポイントの刺激こそが身体を変える」
                             
 春は名のみの厳しい寒さ。冷えから風邪をひく方も多い。ゾクゾク悪寒がし、喉が痛かったり、薄い鼻水が出る、風邪の初期への対処法は、秋口の本稿にも書いたが今一度ご紹介しておきたい。


 ぎりぎり足が入れられる熱いお湯に足首までを浸ける足湯だ。ぬるくなっては効果がないので、ポットなどを用意して、さし湯ができるようにする。じわーっと上半身まで熱くなってきたら、両足をお湯から出して見てみる。面白いことに左右のどちらかが白く、他方が赤い。半身のどちらかがより冷えているのだ。白い方の足だけを熱いお湯に浸けてさらに数分。そちらも赤くなり、全身が本当にぽかぽかして冷えがとれる。その間と後は、汗が冷えないように乾いたタオルで拭くことも大事だ。


 両方の足を熱いお湯に入れても赤くならなかった側の足が、そちらだけをお湯に入れると赤く温まる、ということは不思議かもしれないが、身体とはそのようにできている。さらに言うと、全身浴をすれば、足もお湯に入れるのだから足湯も兼ねるように思えるが、足首から先だけを温める方が、風邪の初期、耳鼻喉の不調、心理的不安(不安だとアキレス腱が固く縮む)などには効果が大きくて、全身浴ではそれほどの効果は望めない。


 部分浴では他に、胃腸に症状の出る風邪には、ふくらはぎまでお湯に入れる「脚湯」がよい。手や腕は頭の働きと関連が強く、頭の回転が滞ってアイデアが出なくなった時には、「ひじ湯」が効く。漫画家の長谷川町子さんも、ひじ湯にかなり助けられていたそうだ。浴法ではないが、目が疲れた時、瞼の上に熱々の温湿布を載せるのも、効果が大きいので試されるといいと思う。目を温めると、首や肩も緩み、骨盤までもゆったりとするのが感じられるだろう。


 全体に対する刺激よりも、部分に対する刺激の方が、身体には大きな変化を促すと言える。それも、より適切な部分にピンポイントで刺激すると変化が大きい。強すぎたり繰り返されたりする物理的刺激も、身体を鈍らせて効きめを弱くしてしまう。刺激の量と効果は比例しないのだ。だから足湯も毎日は勧められない。


 適切な部分へのピンポイントの刺激に対しては、身体はそこにエネルギーを集中し、大きな反応を起こす。ただ一言の的を射た言葉、今の自分の身体にぴったりな食べものが、大きな変化を起こすのにも通じると思う。足湯をなさる時には、全身浴よりも温まる、身体の精妙さを、改めて味わってみて下さい。

『産経新聞』2012年2月13日(月)夕刊文化欄掲載

[ Post Date ]
2012/02/13
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身体・性・舞踊