HIPHOP USA CHAMPIONSHIP
- [ Post Date ]
- 2008/08/10
- [ Category ]
- 身体・性・舞踊
7月29日(火)
ラスベガスの郊外にある、レイクラスベガス湖畔のホテルで、全米HIPHOPダンスチャンピオンシップが開催され、娘と観にいった。レイクラスベガスは、ルーズベルト大統領のニューディール政策による、大規模なダム工事の結果できた人口湖だ。まわりは、まるで火星か金星のような、荒涼たる赤茶けた砂漠。湖のまわりだけに緑がある。
29日の午前と午後で全米の予選がおこなわれる。ジュニア(12歳以下)11チームと、ヴァーシティ(12~18歳)25チーム、アダルト(18歳以上)12チームの三部にわかれて演技がなされ、HIPHOP界では有名な4人の審査員が決選に進める9チームを選ぶ。さらに30日の決選で優勝者を決め、優勝チームは31日からの国際HIPHOPダンスチャンピオンシップに出場ができる。私達は日程の関係で、全米予選と決選のみの鑑賞となった。
全米HIPHOPチャンピオンシップと聞いて、どんなにレベルが高いことか、目を驚かせ、息もつかせないダンスが見られるかと、わくわくしながらきたのだった。ところが、次々演技をみていくと、期待は次第にシューッと音をたててしぼんでいった。
あれ?こんなもののためにわざわざ近くに2泊も宿をとって来たの?。全米大会ってこんな程度?柏まつりのステージの方がレベルが高いかも・・・。
どのチームも、構成が似たり寄ったりで、個性が感じられない。いろいろな曲を5、6曲つないで変化をもたせようとしているが、どのチームもそうするので同じようになってしまう。曲数を減らして独自性をだしたほうがいいのに。
アメリカの少年少女の間ではチアーリーティングがとても人気があり、そのため、HIPHOPとチアーのミックスのような振りも多かった。学校に行けない人たちの文化が、学校文化との混淆で毒抜きされているよう。
ダンス自体のレベルが低い。Debbie Reynolds ダンススタジオにいたような優れたダンサーは、こういうチャンピオンシップには参加しないの?
演出や、衣装の工夫の無さ。日本ではもっと曲やダンスの特徴を生かした、センスのいい発想をするのに。衣装など、たとえばインパクトのある「へそだし」は36組中ただ1人しかしていなかった。スパンコールやラメで目立つ生地もない。地味な普段着がつづく。
白人、黒人、アジア系、ラテン系、それらのミックス、いろいろなチームが続いたが、人種や民族にかかわらず、どのチームもあまりぱっとしなかった。
なぜこんな程度?
やはりレイクラスベガスで行うチャンピオンシップなどに、遠路はるばる来られるチーム自体はごく限られるのだろう。これからは「全米チャンピオンシップ」などの大きな名前に惑わされないようにしたい。
アメリカ人は団体競技が苦手だということも理由のひとつだと思う。団体になりながら個性的でいる、ということができず、団体になると個性がだせなくて平板になってしまう。年齢別の各分科会のあと、出演者たち全員が大きな輪になって、バトルのように個人芸を披露するときが設けられた(写真)が、これはかなりもりあがった。
団体では凡庸だった人たちが、どんどん即興の自己表現をして、こんなに巧みなダンサーだったんだ、と初めて気づかされたりした。
日本のとくにキッズとジュニアのHIPHOPダンスのレベルは、これと比べるといかに高いかがわかった。それは親が子どもにエネルギーとお金をかける「習い事文化」の成果なのだ。日本の親たちは、子どもの習い事での上達に自己実現を見出して嬉々となっている。
たぶんアメリカでは多くの親はそうではないのだろう。
以前のコラムに、日本のキッズやジュニアたちがHIPHOPダンスでとてもSEXYな表現や扮装をしていると指摘したことがあった。これはHIPHOPダンス全般の特徴ではなく、日本の親たち大人たちの嗜好なのだとわかった。アメリカの子ども達はまったくSEXYな服も着ないし、振りつけも子どもらしいものだ。日本では子どもがマセた格好やしぐさをすることを、大人はどこか歓迎して楽しんでいるところがある。アメリカでは子どもへの性的虐待がおきやすいからだろうか、扇情的な表現はとても控えられている。現代日本の子ども観の一面。
ドキュメンタリー映画「Rise」で見たがロサンゼルスの黒人街では、赤ちゃんはまだ歩けないうちからお母さんにかかえられて腰を振られ、よちよち歩きになると、もう Krumpの輪にはいる。生まれたときから踊っているそういう子どもたちは、こんなチャンピオンシップには来られないが、ダンスの天才たちだ。一方で、経済的に恵まれてたくさん投資をしてもらえる日本の子どもたちにも、驚くような才能を発揮している子達がいる。HIPHOPダンスが、世界の貧困層と富裕層の両極端で開花しているのがおもしろい。
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