ホスピスのお手伝い

10代終わりから私は、女性の宗教性のありかたについて考えてきましたが、その中で、死の看取りは、宗教性とつながる女性ならではの活動だと気づきました。その後、平均寿命の半分くらいまで生きてきたとき、後半生は死と常に接しながら生活しようと思い、始めたのがホスピスボランティアです。

まだまだ日本では数自体少ないホスピスですが、その中で私が開所時から関わらせていただいている「きぼうのいえ」は、日本で唯一の、基本的に身寄りのない方たちのためのホスピスです。それだけに、ボランティアでも入所の方と家族のような密な関わりをさせていただけます。

これまで、何人もの方があの世への橋を渡っていくのに、つきあわせていただきました。心を尽くしても、できることは本当に限られ、自分の足りなさを感じることも多いですが、天上の力のはたらく特別の時空を共にさせていただくのは、有り難い事です。私にとって、生と死が接するリアリティの次元は、不思議と、故郷のように感じられるものです。人は生きてきたように亡くなる、という言葉もありますが、最期まで人は大きく変わる可能性ももっています。ご苦労の多かった人生であっても、最期に人への信頼感を取り戻し、心満たされる方もかずかずおられます。すべての人にとって、少なくともこの世の生の最初と最期に、その存在が最大限に大事にされることは、本当に重要ではないでしょうか。人生のいつ、大きな変貌の山場を迎えるかは、それぞれの人で異なるのですが、真に大事にされる関わりがあれば、最後の大きな一歩を進めてこの世の生を終えられるのではないかと思います。

「きぼうのいえ」をはじめとするホスピスに、より多くの方がご理解くださり、こんな場所が世の中に増えればと思います。私もいつか、ホスピスにいま以上の関わりをするかもしれません。デスエデュケーション、また在宅ホスピスも非常に大事だと考えています。

「きぼうのいえ」は、でも、特別に不思議な場所で、奇跡が日常のように起きています。ほんのひとつの例ですが、資金繰りができず、やりくりの知恵も出し尽くして、なすすべをなくした丁度そのときに事務所に電話がかかり、「家族の遺産があって、意義深い社会活動に使ってもらおうと思い、探していました。是非そちらの活動に使ってください。」と言われる、というようなことが起きるのです!こんな場所が世の中に増えればいい、と軽い気持ちで言えなくなる特別さが、ここにはあります。「きぼうのいえ」のそんな日常については、施設長の書かれた本がお薦めです。スタッフで関わっている方々の魅力もよく伝わってきます。感受性のこまやかな男性スタッフたちもいますが、共感力や探究心の豊かな女性スタッフたちが素晴らしいやり方で自分の女性性を生かしています。

備考
山本雅基 『東京のドヤ街・山谷でホスピス始めました。―「きぼうのいえ」の無謀な試み』 実業之日本社
きぼうのいえWebサイト : http://www.kibounoie.info/