IT化と身体の変容
Windous95が急激に普及し、プレステ2がブレイクした90年代半ば以降、日本人の身体が大きく変質してきたと私は見ています。
たとえば、ゲームのキャラクターのような汗や匂いや汚れのない身体に、生身の身体を近づけたいという感覚が生まれて、ボディケア用品の売り上げが急上昇し、ドラッグストアのチェーン店が街のあちこちに開店しました。情報の奔流は、食べることへの感覚をも変えています。特定の食品が「○○に効く」「□□にいい」という情報がTVで流されると、翌日にはその商品がスーパーの店頭から消えるなど、人々が、何を食べるかを、「おいしそう」「おいしい!」という身体感覚で選ぶのではなく、頭にいれた情報で選ぶようになってきました。サプリメントの売り上げも90年代半ばから急増しています。
ITで駆使するための、目の疲れ、神経の疲れも深刻です。それが大きな原因の、睡眠異常を訴える人も増えています。目や神経の疲れが慢性化して、生殖力の低下も起きているようです。
身体は本来は、自分がそのとき最も栄養的に必要な食べ物を、「おいしそう」「おいしい!」という感覚でわかる、絶妙なしくみをもっているのです。身体はどんな化学物質の助けなしでも、汚れを排出して浄化する力をもっていますし、自己調整や自己治癒をたえずおこなっています。深く眠り、生殖をして、喜んで生きるものです。
IT化とともに起きている身体の変容を、具体的、実証的にとらえること。そこで生じている偏り・鈍り・無理を克服する、IT時代の新しい身体文化を見出したり作り出したりすること。それが私の身体論の大きなテーマです。
