日本人の性の文化を考える
DUREX社が行っている、性意識、性行動についての、世界41カ国の比較調査(2005年)(http://www.durex.com/jp/gss2005result.pdf)によると、日本は「年間セックス回数」では最下位、「自分の性生活は幸せ」と答えた人は、最下位の中国とのわずかな差で下から二番目でした。
日本では90年代には「セックスレス」が問題にされ、また、生身の人を性的対象にしない「おたく」「アキバ系」も話題にされてきました。確かに避妊用具の売り上げ個数などからみて、日本人の性行動は総数として鈍っているようです。90年代特有の現象とは、そしてその要因とは何でしょうか? しかしまた、現代の60代、70代の多くの方たちのセックスのありかたは、数十年前から、「前戯なし」「時間は10分以内」「女は性的なことを話題にするものではない」など、幸せとは言えないものだったですし、「夫婦になってしまったら、母ちゃんとやるみたいで嫌だ」という、夫婦間のセックスへの忌避感(いわゆる「妻だけED」に通じるもの)は、かなり以前から抱かれていたようです。歴史的な見通しをもつなら、日本人の夫婦、夫婦外のセックスはどう変わってきたのでしょうか?
かつては源氏物語、伊勢物語などが生み出され、恋愛大国だった日本。キリスト教倫理の「性はけがらわしい」という考えから自由で、夜這いの風習があったり艶句などで遊んだり、豊かな性の文化をはぐくんできた日本。いつ、何が要因で、世界一と言えるほど、性とその文化が貧困になってしまったのでしょうか?
セックスレスの人の中には「自分にとってセックスは重要ではない」と考えている人もいますが、それはいわゆる「廃用性萎縮」によることが多いのではないでしょうか。セックス回数、幸せ度の非常に高いフランスでは、充実したセックスが社会の生産性を上げると、真面目に考えられています。日本でも、豊かな性とその文化があれば、個人の生活も生きいきし、社会ももっと活性化するのではないでしょうか。
私の「社会学」「身体論」のクロスする領域で、これらのようなテーマに取り組んでいます。大学生への真面目で率直な性教育、各年代の大人たちへの話題提供も重要だと考えています。
