レポート紹介「性の身体コミュニケーションの現在」@「情報コミュニケーション学入門D」

[ Event Date ]
2008/06/19

6月3日(火)3限 明治大学和泉校舎「情報コミュニケーション学入門D」第7回「性の身体コミュニケーションの現在」

即日レポートの紹介、コメントをします。

◆1 まず、即日課題「日本人の性のコミュニケーションの現在の状況について、歴史的変遷、国際比較をふまえてまとめてください。」の,良くかいていると思ったレポートの紹介です。省略部分は・・・で示し、執筆者は学年のみ表示します。一部はコメントを私が書き添えます。

●「一つ一つの話が新鮮でした。性に対する考え方が大きく変わりました。現代 世間では「最近の若者は乱れている」と言われているので、なかなか公に言う自信がありませんでした。・・・昔は、性を謳歌する風潮があったため、祭りや行事の際に、人目をはばからず堂々とセックスを楽しんでいたということに驚きました。自分の妻や夫ではない人と性行為をするわけですから、感染症などにかかるリスクは高かったと思います。にもかかわらず危険と隣り合わせを認識した上でよりよい幸福を得るためにセックスをして活力を得ていたことに感動しました。・・・」(1年)

●「現代日本人の性の身体コミュニケーションは、江戸時代などと比べると鈍化している。セックスレス、妻だけED、回数の減少、低い満足度などが根拠である。若者世代では性への関心が低下、変化している。生身の相手ではなくアニメなどで性欲を解消する人もいる。こうなった原因として明治以降の純潔教育、キリスト教文化の影響、情報化社会での情報の氾濫などが挙げられる。・・・」(1年)

◆2 「そしてそれに対するあなたの考えを書いてください。」

●「日本人は身体コミュニケーション自体が乏しい。性行為に限ることではなく、たとえば、手が触れたり、抱きしめあったり、それ以前のことがまずできなくなっているのではないかと思う。」(1年)

●「女子の会話では、恋愛の話こそするものの、性についてはなかなか話題にあがらないようだ。ここで私が主張したいのは、女性も性に関してもっと恥ずかしがらずに真摯に向き合うべきだ。男子の性に関する勉強量ははかりしれない。お互いがSEXで快感を得るにはお互い知識が必要だ。いつまでも女性は受動的な立場でいるのは脱するべきだ」(1年)

●「日本人みなが性についてもっと深く考え直す必要があると思った。性についての知識を正しく教育することも必要だと思う。」(1年)

●「日本人の性の身体コミュニケーションをより豊かにするには、もっと女性と出会う機会を増やすべきだと思う。まずは出会わなければ、ただの会話すらなりたたない。とはいっても積極的に女性と出会うのも勇気が必要だと思う。だからまずは自分を見直すべきだと思う。自分を見つめなおし、自分の魅力、いいところ悪いところも含め認められるようになれば、自信が生まれ、それが原動力になると思う。まず第一にすべきことは、自分探しなのだ。」(1年)

(平山)若い男性の発想がたいへんよく伝わってくる文章だと思いました。自分のいいところをよく自覚して、自信をもって異性に接せられるようになることは、とても大切なことですね。ただこの文面からは、コミュニケーションから少し撤退して、自分の内面をまず見ようという姿勢もうかがえ、余計にコミュニケーションへのハードルが高くなるのではないかとも思います。自分を見つめることと同時に、サークルなどのさまざまな活動で、異性と自然にコミュニケーションをとる機会を増やしてはどうでしょうか。

◆3 質問、疑問

●「私はセックスに対して不安が大きいです。現在エイズ患者の増加などが言われており、自分のパートナーになる人が安全とは言い切れないことがあると思うからです。少女マンガにあるような美しいセックス像は望めないですよね。ってこう考えてしまうのもアキバ脳なのでしょうか。」(1年)

(平山)性感染症は、ゴムでほぼ完全に防げますので、セイファーセックスを十分心がけるとよいでしょう。

この方がいうように、ステディな相手であっても、その人にとってあなたが初めての相手でない限り、感染の危険性はあるのですから、「はじめからゴムをつける」、というやりかたは習慣づけたほうがよいと思います。不特定多数の人と接触する場合にはみんな警戒して、ゴムを初めからつけることが多いですが、ステディな人と接触する場合には、ゴムなしで、または途中までつけずにすることが多く、結果として、不特定多数の人と接触する以上に、感染を招いてしまうといわれています。要注意です!

ただ、この方の不安は、性感染症だけが理由ではないようにも感じられます。男性のごつごつした輪郭、ごわごわした肌、匂い、汗・・・少女マンガにはない、生身の身体には、若い女性は違和感をもつことも十分あります。でもまあ、時間をかけて慣れていきましょう。今は嫌だと思うもののよさに、いずれ感覚的に魅かれるようになっていくでしよう。

●「気になったことがあるんですが、ゴムの使用数が減っているのに少子化しているのは、性交の回数が少なくなったからですか?他の理由があるのかどうか気になりました。」(1年)

(平山)厳密には、ゴムの使用数の減少は、性交回数の減少、他の避妊法選択の増加、妊娠して中絶(または流産)する数の増加、妊娠出産の増加、のどれかと原因、または結果の関係にあります。しかし統計的には、性交回数の減少だけが現実です。

●「これからの日本人の性がどのようになっていくと考えますか?」(1年)

(平山)ご質問ありがとうございます。私は、基本的に、単純な将来予想はしないようにしています。それは、社会は、変えようと思えばかなりの程度変わるし、また思わぬきっかけで意外に大きく変わってしまうこともあると考えるからです。若者の性は現在、活発な層と、非活発な層に分かれていますが、今後そのどちらによっていくか、また分断が強まるのかどうかは、いろいろと可能性があると思います。

この授業をきっかけにして、より豊かな性のありかたを探したり実践したりする人もきっと現れるでしょうし、そうすると、ここ数十年間でもっとも充実した幸せな性が実現するかもしれません。私もそれをめざして、大学生への広い意味での性教育や、社会への性の情報提供につとめていきたいと思います。

◆4 感想

●「性について、こんなにたくさんのしっかりとしたデータを見たのは初めてでした。日本の伝統的な性について現代との違いに驚きました。・・・そして現代の日本人の性に対する意識についても初めてデータを見て理解できました。・・・やはりとても大切なコミュニケーションであり、言葉とかはないけれど、一番近くで相手を感じられる素敵なことだなあと思います。とても深いものだとわかりました。・・・」(1年)

●「・・・とても印象的な講義でした。日本社会ではやはり触れてはいけないような雰囲気のある性というテーマに踏み込んでいました。性は自分の存在の原点であるという考え方はすばらしいと思いました。」(1年)

●「感想:少々赤裸々すぎると思います。」(1年)

(平山)普通触れてはいけないタブーとされているテーマを取り上げたので、赤裸々すぎると思った方もいたと思います。しかし、語らないですごすと、不満足でも変えられない、という状況が続くと思います。また語り方も下品にならず、性の大事さをお伝えすることを心がけたつもりです。

●「私は韓国人なので、まだよくわからない部分もあるが、性的なことに関して、韓国より日本の方がより開放的な考え方を持っていると思う。・・・私は性的な関係を男女がもつことは悪いとかは思わない。しかし、韓国の場合、悪いという考えがあるので、日本とまた違うと思う。」(留学生 1年)

(平山)韓国では婚外交渉の否定視は日本より強いと思われます。儒教社会では、父親が誰であるかが明確にならないと社会の秩序が根本から揺らいでしまいますので、特に女性の婚外婚は、厳しく制限されていますね。日本は儒教が浸透したのは、武士階級など一部だけでした。

●アキバ系?の幼児体型の指摘は衝撃的だった。(1年)

●「モテない人間がどうやって経験をつめと?流石にあそこまでバカにされたら黙ってられないデスヨネ。?って何だ、?って。見下したようなしゃべりしやがって。僕らには貴方には決して見えない世界がみえてんですよ。それがいかにきれいなものかなんて、考えたこともないでしょう?自分の考えこそが正しいみたいな思い上がりは大概にしてください。腹がたちます。」(1年)

(平山)ご不快な思いをさせてしまいました。ご意見にふたつの主張が混じっているように見受けます。まず、「経験をつむ」やり方がわかれば、そして自分のものにできるなら、経験をつんでいきたい、という主張と、そのような身体を含めた「経験」とは別次元の、きれいな世界の価値を認め、その世界を大事にしたいという主張と。もし、きれいな世界の価値を心底信じて、その世界に生きようと思うなら、「バカにされた」「見下された」と腹をたてることはないのではないでしょうか。自分のなかの二つの違った主張について、考え直してみてください。

◆全体的な評

珍しい授業内容だったらしく、新鮮な発見ができたことを率直に述べているレポートが多くて、こういう授業も意味があったかなと思いました。性的コミュニケーションの大事さ、深さもよく受け止めてくれたと思います。

アキバ系の身体を性未熟と説明したことには、反発、反論も何人かから出されました。アキバ系でも体格のよい人もいる、差別になるからきめつけるものではない、という意見もありました。私の見方では、性的に成熟した身体のもちぬしなら、一時的にアキバ系の文化に親しんだとしても、飽きたり、現実の人間関係などにもっと楽しさを見つけたりしていくと思います。

笑わせてもらえたレポートも少なくありませんでした。氏名に続いて(童貞)と書いた方、「腰、鍛えます!!!!腰、鍛えます!!!!」と連呼した方、・・・。意欲がほとばしっていると思いました。がんばってくださいね。

ちょっと気になったのは、基本的な漢字を書き間違えている人が意外に多いことです。「初」の偏を「示すへん」にしたり、「体型」を「体系」と書いたり、「積極的」を「績極的」としたり。漢字の勉強はこつこつ続けてください。

ではまた別の授業などでお会いしましょう。素敵な大人になってくださいね。

[ Event Date ]
2008/06/19
[ Trackback ]
http://www.typepad.jp/t/trackback/308495/12901080