レポート紹介「性の身体コミュニケーションの現在」@2009前期「情報コミュニケーション学入門D」

[ Event Date ]
2009/06/23

受講者のみなさん、おまたせいたしました。(長文です)

みなさんの当日課題レポートのなかから、(一般的な傾向を知ってもらうため)典型的なもの、(みなさんの中での意見の幅を知ってもらうため)個性的なもの、そして、優れたものを選んで紹介します。そのあと、書かれた質問ほぼ全部に、お答えします。

■当日課題1「日本における性の身体コミュニケーションの現状を、歴史的変遷、国際比較に言及しながら、まとめてください」
これは授業のまとめですので、レポート紹介は省略させてください。
こういう課題の場合、授業を客観的に総体的によく要約することが大事です。自分の意見だけとか、授業の断片だけのまとめはよくありません。9割くらいの方が合格水準だと、判断いたしました。

■当日課題2「自由な考察、意見、質問」 以下、受講者の意見を「 」の形で引用し、平山からのコメントを付します。

まず、授業全般についての意見
性についてのこれまでの考え方が大きく変えられた、発見の多い授業だった、と書いてくれた方が多かったです。
●「新鮮だった。高校では話せないような内容の事柄もあり、自分が少し成長した空間にいるようにも思えた。」
●「これまでの教育のため、セックスはよろしくないというイメージで私はいたので、今日の授業は本当驚きでした。」
●「小中高の性教育は堅苦しすぎて、セックスが嫌なものという印象ばかりで、先に妊娠したら・・?などという考えが走ってしまい、どことなく敬遠してしまっていたが、各国の現状やさまざまなメリットを知ることができて、汚らわしいもの、としてのセックスのイメージが払拭されたような気がした。男女とも正しい知識をもってセックスをすれば、もっと活力があふれ、活気がある社会になると思う。」

性について否定的な見方の強い、現代日本の大人たちへの批判も数多くありました。
●「「最近の若者は~」と口癖のようにいう大人はおかしいと思います。・・・このままだと現代日本の性のコミュニケーションは大人のせいで『乱されて』しまうと思います。・・・いろんな人がいろんな人と性ではない普通のコミュニケーションからはじめていくことで、日本の性の身体コミュニケーションは進んでいくと思います。」

同感です。今回の学生のみなさんも、セックスに、性感染症や望まぬ妊娠、援助交際、生活や精神の乱れ、などの悪いイメージだけが強固にまとわりついて、よいイメージが乏しい人がたいへん多いのです。学生のみなさんがこれまで接してきた、大人たちの影響でしょう。その影響を脱するほうがよさそうですね。以下はそのような意見の紹介です。

●「今までは性体験について否定的な意見を聞くことが多かったのですが、今回の授業で肯定的な意見を聞くことができたような気がしました。自分はきちんとした知識なしに否定的なイメージをもっていたので、勉強になりました。」(女性)
●「悪いイメージを子どもの時から植えつけられ続けると、どんなに快感がえられようとも、少なからずやる気がなくなる。「セックスに対する無関心」というのも、本当は単なる恐怖からくるものだと思う。」(男性)
●「私はセックスというものは不健全なものだと考えてきたが、この授業をうけて考えが変った。セックスは人間の成長のためには不可欠な行動だと分かった。」(男性)
●「三大性欲のなかで、なぜ性欲だけはみにくいと思われているのだろうか。日本人は皆一度色眼鏡をはずして、性を見直す必要があるのではないだろうか?」(男性)

さて、セックスと心身の幸福・健康の関係を具体的にお話しましたが、この、日本ではあまり主張されない見方に、発見や納得したという意見がありました。
●「セックスと身体状態との相関関係が思っていたよりも深く、男性は自信、活力全般を失ってしまい、女性は心身の健康度に影響があるといわれ、私たち生命の源である性行為に関しての考えが少し変りました。また、充実度、快感をえた性行為を体験すると、子育ても性的快感の延長に感じることができると知り、女としても、とてもためになることを聞いたと思いました。」
●「性的に充実していると、生活や人生が充実するというのは、まぎれもない事実であろうと思う。実際充実感を感じている。しかし万が一子どもができてしまった場合、私は大学をやめて土木の仕事に就いてがんばるしかない。子どもをもつのは安定した収入があってこそだと思うので、避妊をして充実した生活を送っていきたいと思う。」

この方が書いているような「性的に充実していると、生活や人生が充実する」というのは、経験した人にとっては本当にまぎれもない事実なのです。よく書いてくれました。でも、そのような充実を経験したことの無い人には、絵空事でしかありません。
多くの日本人は、性的な充実がどういうものかを知らず、また自分の心身の不調がどこから来るのかわからないまま、性的な充実を追求してみようとも思わないのが現状です。
若い方には、性的な充実は、人生にとってすごく本質的に重要らしいと、まずは、よくわからないけれど信じてみてください!

つぎに、国際比較についての意見です。
●「自分がホームステイでオーストラリアに行ったときは、その国の人たちは四六時中性のことばかり話している。日本ではそういう話題に積極的ではない。日本人はもう少し恥じらいをなくして性について話題にしてはどうかと思う。」
●「回数で日本が少ないのは、環境の影響もあるだろう。回数が多いのは比較的温暖で仕事にルーズなところで、少ないのは冬がありまじめな人が多い国という結果だった。これは風土的問題もからんでいるだろう。」
このとらえかたは、ちょっと正確ではありませんので、調査結果をここで見直してみましょう。
DUREX社による国際比較(2007-8年)の「年に何回セックスしますか?」の結果を、再掲します。①ギリシャ(164回)②ブラジル(145回)③ポーランド(143回)④ロシア(143回)⑤インド(130回)・・・22アメリカ(85回)23シンガポール(85回)24ナイジェリア(84回)25香港(82回)26日本(48回)  
これを見ると、寒い国でも回数が多く、暑くても回数が少ない国もあることがわかります。
それから、仕事にルーズかどうかとセックスの頻度との関係については、日本とフランスを比較した、玄田有史、斎藤珠里『仕事とセックスのあいだ』朝日新書 が大変示唆的です。

●「私が不思議に思ったのは、キリスト教の影響の強い国々のほうが、日本より性の充実度が高いということだ。」「西洋の影響を受けた日本が性的に不活発になり、西洋社会は性的にはるかに活発なのはなぜだろうか?」(この趣旨の疑問多数)

興味深い問題です。これについては、いくつかの説明が考えられます。

・西洋人は生殖器の機能が日本人よりも強いという、生理学的な違いがあります。食べ物も肉食が多いですし。
・キリスト教圏でも、ギリシャ正教、ロシア正教など東方教会の地域では、性的に抑圧的な教えが弱かったようです。
・キリスト教圏で、プロテスタントの地域は、カトリックの地域よりも、性的抑圧が内面化され、性がうしろめたいものという考えがあるようです。日本近代化の課程により大きな影響を与えたのは、プロテスタンティズムの普及した国々でした。
・1960年代先進国では「性革命」が席巻し、性は幸せのために重要なこと、という価値観の転換が起こりました。(LOVE&PEACE、MAKE LOVE NOT WARなどが標語)日本にはこの影響は少なかったので、彼我に大きな差ができたともいえます。
おもしろいですね!関心をもったら、宗教と性の歴史、性革命など、さらに調べてみてください。

次に韓国からの留学生の意見。
●「今までセックスというのは、当然に恥ずかしいことだと思っていた。韓国では日本より性について開放されていない。しかし恥ずかしいものではないという見方を知って驚いた。」
韓国からの留学生たちはほぼ共通して、韓国では日本以上に、性は恥ずかしく、結婚して子どもを生むためだけのものと考えていると述べています。お名前から性別がわからない方もいましたが、特に女性はそのように教育されてきたのではないかと思いました。

授業で示したのとは別の価値観を主張した意見もありました。
●「日本での性交渉が現代で著しく減っているようだが、自分はそれでもいいのではないかと思う。興味が無い者たちに促進するのは迷惑な話ではないか。」(男性)
●「日本人の性への関心がなくなっていようと特に困ることはない。今日本は少し人口が多いから、多少減ったほうがむしろ都合がいいし、それに性への関心がなくなれば性犯罪も減るのではないか。・・・無理に積極的にならなくても、特に問題はないと思う。」(男性)

特に男性は、セックスによる心身の変化は女性より浅いので、仕事に夢中になったりするとセックスなしでも心身の健康は比較的保たれやすいようです。しかし「英雄色を好む」などというように、本当に活力あふれる男性は性、セックスに関心が薄いということはないでしょう。逆にいうと、上記の意見のような生き方では、本当に活力あふれることはできないのでは・・・と思います。
アキバ系の身体が未成熟、という授業での指摘に対して、賛同を示す意見も多かったのですが、次のような意見もありました。

●「コミケで移した写真を例にだしてそこに写っていた男性を童貞ときめつけ一種笑いものにするような方法はどうかと思いました。」

童貞ときめつけたのではありませんでした。腰椎が未発達な腰の形状で、性行動ができる身体に育っていないと言いました。
授業で笑いは起こりましたが、笑いものにしたのではなく、私は本気で心配をしています。若い世代に、大人の年齢でも身体的には未成熟で、性行動ができない人たちが膨大に生まれていることは、種の保存要求をもった大人とすれば、種の保存の失敗ではないかと、心配します。

●「ヲタクについてステレオタイプを抱いているのではないかと思いました。ヲタクを真剣に考えると興味深いですよ。」

ここでは広い範囲の「ヲタク」ではなく、ゲームやアニメに惑溺し、異性への関心をその世界で満たそうとしている人を考察の対象にしました。
でも、いろいろなヲタクの広がりやタイプはとても面白いと思います。大事なテーマですね。今後の課題にいたします。

●「重要なのは五感での快楽であり、その中でセックスは重要なのかなと思いました。しかし快楽を得るのはやはり「五感」であり、今後のイノベーションの進行により五感デバイスが開発可能となるだろう。そうすれば心変わりをしたり裏切ることを平気でするような生身の女とは、つきあう必要がなくなるわけです。」(男性)

女性の方たちは、男性が場合によっては、女性へのこういう忌避、恐怖心を抱くのだ、と知るといいかもしれません。
セックスによる骨盤や腰椎のゆるみのお話をしましたが、それは「五感の快楽」よりもはるかに身体全体への深い効果です。五感デバイスで得られるかもしれないものは、代用品にすぎないだろうと私は予測します。
これを書いた方は、どうぞ、生身の女性を避けて自分を守るのではなく、より精神的にタフになり、世界中の男達がたいへんだけれど敢行してきた、生身の女性とのつきあいにのりだしてほしいと思います。苦しいことはあっても、バーチャルな世界とは充実感がまったくちがうでしょう!

●「正直に申しますと、自分の趣味はアキバ系であります。それにあんまり3Dの女性に興味が持ちづらいです。というのは、興味がないわけではありませんが、たとえば付き合うことができたとして、関係を保つにはどうすればいいか、とかを考えるのは億劫だなというのが正直な所です。」

生身の女性とつきあうのが億劫、という感覚は、30歳40歳になると、乗り越えがたいものになると予想します。早いうちに、億劫でもそのなかでもまれることを選んではいかがでしょうか。

しかし、それでもアニメやゲームのキャラクターのほうが、生身の女性よりも好きだ、という方に、無理に生身の女性と付き合えとは決して言いません。

つぎに、質問とそれへのお答えです。
●「外国の人たちの身体的特徴はあるのでしょうか?」
外国といっても多様ですので、お答えしきれないのですが、一例として、別の学生の書いてくれたものを引用します。
「ブラジル、アルゼンチンに行ったことがあるが、彼らのもっているものは明らかに日本人と格の違うブツで、驚きを隠せなかったし、彼らは普通に変態で、同性に対してもジョークであろうが求めてきたりした。こういう文化や体の違いもあるわけだから、(日本が性交渉が不活発なのも)仕方が無いことだと思う。」
確かに、睾丸の重さなど、生殖器の質量や機能が違うことを、国際比較のデータをみるときは念頭においたほうがよいと思います。しかし、同じアジアの中でも日本は格段に不活発だということ、明治以前の活発さを失ってきたことは、身体構造だけでは説明できないことです。

●「学校での性教育を義務付けることについて、意見をうかがいたい。」

今回の受講者の意見を見てみますと、学校での性教育で、性への負のイメージを強く植えつけられた人が多いのです。幸せな性や、性をつうじた幸福を求めるならば、性に負のイメージばかりを与える性教育は、大きな問題をもっていると思いました。
子どもや少年少女たちに性教育をするのは、大人のなかでも、自分が「性的に幸せだ」といえる人であるべきだと思います。自分が性的に不幸な教師が、性教育の担当をつとめるのは、たとえば「数学が大嫌いな人が数学の先生になる」「部活にいい思い出がひとつも無い人が部活の顧問になる」ようなもので、生徒達に有害だと思います。

学校での性教育がよいかどうかは、内容によると思います。地域などの大人で、より適任の人がいれば講師をしてもらうなど、教師以外が協力するのもよいと思います。

●第五腰椎を痛めた自分はどうしたらいいでしょうか。

岡島瑞徳『悪い腰いい腰 腰で元気になる方法』木楽舎 2001年の5章2節「腰椎5番の腰痛を治す」を参考にしてください。おだいじに。

●正直、女性とどう接していいかわかりません。具体的にはどう声をかけたらいいかなど。

声をかけよう等とはまずは思わず、大学生ならサークルなどにはいり、とにかく男女でいっしょに活動する機会を多くもつのがいいのではないでしょうか。

●セックススクールがあるとは本当ですか?(複数)

前近代の日本では、村のような共同体で、年長者が年少者に実技をふくめて手ほどきをする、という性教育がおこなわれてきました。遊郭や風俗も、そのように機能してきた面もあります。たとえば上記の「正直、女性とどう接していいかわかりません」と書いた方などは、手をひいて性の世界に導いてもらえたなら、どんなに大人になるのが楽でしょうね。そう考えると、今はたいへんな時代ですね。
大人になっていく人への性の手ほどきには、一定の意義があると思います。
組織としてのスクールは、たしかにあるようですね。ネットで調べてみてください。

●18才にもなって性行為に興味がないのは頚椎の未発達のせいでしょうか。

男女とも20代いっぱいは、腰椎(頚椎でなく)をはじめとした性的機能が成長するようです。まだまだ成長するのではないかと思います。

●自分にはある種の性倒錯があるのですが、どのようにつきあっていったらよいでしょうか。

なかなか人に言えず、悩むところですね。
もしその性倒錯が、自分のアイデンティティにとって、なくてはならないと考えるなら、どんな意味でも他者を傷つけることはないようにし、理解してくれる仲間やパートナーを見つければ、深い絆を結ぶこともできると思います。
また別の見方ですが、整体的にいうと、サディズム、マゾヒズム、同性愛などは胸椎11番の向きが歪んでいるなどの異常と関係があります。胸椎11番の異常を引き起こす大きな原因は、耳下腺炎(おたふくかぜ)をきちんと経過していない(予防接種ですませてしまったとか、かかったときに身体を冷やしたり、ジャンプのような衝撃のある運動をしてしまったとか)ことが指摘されています。詳しくは、岡島瑞徳『12のからだ、12のセックス』木楽舎、2001などを参考にしてください。

次の質問は、もっと詳しく書いてもらわないと意味がわかりませんでした。真剣に知りたいお気持ちがあれば、このサイトからメールを下さい。
●「元カノは骨盤が開いていなかったのか?」等3つの質問を書いてきた方。

では、このたびお会いできた若い方たちが、性的に幸せな人生を送りますよう、心から願っています。

[ Event Date ]
2009/06/23
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